バーボン!2004/06/08 ウイスキーが好きである。 中でも、バーボンが好きだ。ケンタッキー・ストレイト・バーボンである。ケンタッキー州でつくられたものをバーボンと呼ぶようで、同系統の味や香りを持つジャック・ダニエルズは、テネシー州でつくられているというだけでバーボンの表記はなく、テネシーウイスキーとなっている。仲間にしてあげてもいいではないか。 というわけで、バーボン系の味や香りが好きな僕であるが、中でもとりわけ好きなのが、"ワイルドターキー8YEARS"である。8年もののワイルドターキーのアルコール度数は50.5%。普通のウイスキーよりも10%も多いのだ。だから味もとがっている。呑み応えのある味なのだ。 ワイルドターキーと僕との出会いは10年以上前で、そのころ僕はハードボイルド小説にはまっていた。小説の主人公は、トレンチコートの襟をたてて座った港が近いバーの片隅でバーテンダーに、「ワイルドターキー、ストレートで。」などという。「チェイサーは?」というバーテンダーの問いに男はこう答える。「ノーチェイサーだ。」目の前に置かれたロックグラスの中の琥珀色の液体を、男は一口で飲み干す。男ののどは、熱を帯びたような液体に焼かれる。と、まあ、こんな感じだ。かっこいいではないか。まだ未成年だった僕の心に、"ウイスキーならばバーボン、しかもワイルドターキー"という図式が出来あがったのは無理もない。 時が過ぎてなんとか20歳を迎え、どうどうと酒が呑めるようになって、酒屋に行って手に取ろうとしたワイルドターキー。しかし、ここに難関が待っていたのだった。現在では2000円程度で売られているこのバーボン、数年前は酒のディスカウントストアーなど全くなく、定価6800円で売られていたのである。そのころの僕の財布の中は、6800円の酒を買えるほど裕福でなく、し方がなく3000円ぐらいのニッカウイスキーを買ったのだ。 奮起をしてワイルドターキーを手に入れたのは、数ヵ月後のボーナス月。6800円の宝物は、約2日の命だった。 この時点で、僕のワイルドターキー好きは確実なものとなった。イメージで好きになっていたものが、現実の味としても好きになったのだ。それ以来、お金があるときはワイルドターキーなのである。 これは、"男のゆずれないもの"なのだ。 ワイルドターキー 8年 700ml |